2015年12月20日

ペアという経験

ペアなんて、簡単だと思っていました。


2年前、「ISU国際アダルト競技会 日本人男子シングル初の優勝」の称号を得たダワは
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(タナボタw)


新たなモチベーションを探していました。
そこで見つけたのは



「ペア!」



「ISU国際アダルト競技会のペア競技に初めて出場した日本人になりたい!」

と思ったのです。
なぜなら、大会のルールブックを読んだら「結構できそう」なことばかり。



ペアスピンなんて、組んで3回まわるだけ?
2、3回練習したらできそうじゃん!?

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スロージャンプなんて、投げるふりして、勝手に跳んでもらえばいいじゃん!?
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ピボットスパイラル(デススパイラルの簡易版)なんて、
勝手に滑ってもらって手を添えとくだけでいいじゃん!?

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リフトなんて、ただ持ち上げて1回転するだけ?
2、3回練習したらできそうじゃん!?

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サイドバイサイドのジャンプなんて、
跳ぶところを決めて、タイミング合わせて跳べばいいだけじゃん!?

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そう、ダワは完全に、ペアをナメていた。




しかし!




ご察しのとおり、実際はとんでもなかった。とんでもなかったのです。
フィギュアスケートは、見るのとやるのとでは大違い。
そんなことは、シングルの世界でも十二分に思い知っていたことなのに、
どうして気づかなかったのだろう。



以下現実
↓↓↓↓



ペアスピンなんて、組んで3回まわるだけ?
2、3回練習したらできそうじゃん!?


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とにかく、軸が全然つかめなかった。実はスピンがいちばん苦労して、どんなに練習しても2回転ちょっとしか回れない状態が最後まで続き、もう半分あきらめていました。しかし、ギリギリ本番4時間前の最後の練習で、アイスダンスの先輩たちにアドバイスをいただき、ようやく3回まわるようになったのです。まさにギリギリ。



スロージャンプなんて、投げるふりして、勝手に跳んでもらえばいいじゃん!?

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ダメ。「投げるふり」はジャッジは簡単に見抜くので、それだとエレメンツ認定はされないのです。スロージャンプは、自分が投げるタイミングと相手が踏み切るタイミング、すべてはタイミング。タイミング、合わない、合わない、合わない、合わない........



ピボットスパイラル(デススパイラルの簡易版)なんて、
手を添えとくだけでいいじゃん!?しかも1回まわすだけ?


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ピボットスパイラルは認定が厳しく、去年の大会でも半分以上のペアがノーカンになっていました。男性側がきちんとシットの姿勢(お尻が膝より下)にならないとエレメンツ認定されないのです。やってみても、まずシット姿勢になれないし、遠心力に負けてはね飛ばされること数百回。つらかった



リフトなんて、ただ持ち上げて1回転するだけ?
2、3回練習したらできそうじゃん!?


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リフトは実際やってみると意外と難しくないのですが、氷上で相手を落としたら大惨事になるので、絶対に失敗できない緊張感と恐怖感があり、僕がたくさん練習することを拒みました(オイオイ



サイドバイサイドのジャンプなんて、
跳ぶところを決めて、タイミング合わせて跳べばいいだけじゃん!?


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ペアの相手とジャンプの跳び方が違う(サルコウの入り方とか)ので、いつもシングルでやっているジャンプの入り方を修正する必要がありました。ジャンプの入り方を変えるのは、新しいジャンプを覚えるのと同じようなもの。しかも相手を見ながら飛んじゃダメ。大変。




このように、練習を重ねていくうちに、


ペアって、ものすごく、危険.............

ペアって、ものすごく、ハード..........

ペアって、ものすごく、男性側の責任が大きい..........



自分はなんという世界に気軽に飛び込んでしまったんだろう....と思いました。


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↑深夜2時のスケートリンクです。

そう、練習場所や練習時間を確保するのも、ひと苦労でした。
もちろん、混んでる一般滑走の時間に練習はできないので、平日昼間の早い時間帯とか、平日夜(仕事が終わった後)に貸切とか。つらかったのは深夜1時から2時まで(しかも仕事の後)の深夜貸切。普段はもう寝てる時間、体を無理やり起こすためにメガシャキやレッドブルなどを飲んでリンクに向かう。練習が終わった後も、深夜2時とかなので家に帰れない、カプセルホテルとかネカフェに泊まる、泊まって横になっても、カフェインでギンギンなので眠れない。眠れないまま始発の電車で家に帰り、仮眠して仕事。

始発待ちをしている時、高田馬場のドンキホーテって24時間営業なんだなぁ...ということを知ったりもしました(余談)。


そんなハードな日々に加え、自分は3月にピアノライブがあったので、その練習(35曲暗譜で2時間弾き続け)もあった。


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好きでやってることとはいえ....


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つらい.....


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毎日つらい.....



ストレス(と筋トレ)で、びっくりするくらい太りました。


でも、やめるわけにはいかなかった。


一度「やる」と言ったことを撤回するのは、絶対に、イヤだった。


順位とか、そういうのはもう、いい。ビリでもいい。

「怪我なく、怪我させることなく、出場すること」そして「全エレメンツをきちんと認定してもらうこと」

それだけを目指して滑りました。深夜の時間帯なのにもかかわらず、わざわざ来てくださり、色々なことを教えて下さった先生達にも本当に感謝、感謝です。


■ペア練 履歴
2014/7/23  ミーティング
2014/9/18 一般滑走練
2014/10/16 一般滑走練
2014/10/31 貸切練 2015-2145
2014/11/20 一般滑走練
2014/11/29 貸切練 2015-2145
2014/12/11 レッスン
2014/12/19 貸切練 2200-2330
2014/12/31 貸切練 2030-2130
2015/1/15  振付
2015/1/23  貸切練 2200-2330
2015/2/5  一般滑走練
2015/2/6  貸切練 2015-2145
2015/2/16  貸切練(深夜)2330-2430
2015/3/2  貸切練 2015-2145
2015/3/5  一般滑走練
(3/15ピアノライブ)
2015/4/12  貸切練 2015-2145
2015/4/20 貸切練(深夜)2445-2545
2015/4/30  レッスン
2015/5/4  貸切練 2015-2145
2015/5/11  深夜貸切練 2445-2545
2015/5/14  朝貸切練 0830-1000
2015/5/21  直前パッチ 1320-1410


結局、ふたりで合わせて練習できたのは全部で23回。
曲かけをしても、エレメンツをすべて成功させることは、最後まで一度もできませんでした。

そして5月、ドイツ、オーベルストドルフ。

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本番前はやっぱりこわくて、先輩にメールしたら、

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という言葉を頂き、そうだな、今まで半年一緒にやってきてくれた相手に対して、感謝の思いを持って滑ろう、と思い、本番にのぞみました。曲は「Auld Lang Syne」。蛍の光です。


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♪Should auld acquaintance be forgot, And never brought to mind?


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♪Should auld acquaintance be forgot, And auld lang syne


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♪For auld lang syne, my dear,For auld lang syne


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♪We'll tak a cup o' kindness yet


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♪For auld lang syne



実は自分、真ん中のスパイラルあたりから記憶がありません。ゾーンに入ってた、とかそんなのではなく、ぱったりと記憶がないのです。「あ....もうスタミナがない...」と思ったのが最後。それから「無」になりました。気がついたら最後のピポットスパイラルで、曲が終わっていました。


なんか、うまくいったらしい......何が起きたかわからない......まま、みんな抱き合って、泣きあって、笑いあって、結果は.....



全エレメンツ認定!

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マイナスいっぱいあるけど!


しかも5位!
(8組中)



練習では一度も通してできなかったのに、本番だけなぜかできたのです。やった!というより、「無事終わった.....涙」という、安心感の方が大きかったかな。


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これが、ダワの「ペアという経験」でした。




なんというか、今年のアダルト大会は、ここには書けないことが、自分も、自分以外の人もホントに色々なことがあって、ありすぎて、5日間ずっとジェットコースターに乗っていたような気分でした。

いつもだったら、帰国してすぐに「こんなことがありました〜楽しかった☆」とこのブログに書き綴っていましたが、今年はなかなかできなかった。それは、フィギュアスケートって何なんだろう?という畏怖にも似た思い(それは決してネガティブなものではなく)、それがずっと頭の中をぐるぐるしていて、気持ちの整理がつかなかったからです。


フィギュアスケートって、わからない。


絶対できる!って思ってのぞんでも、全然できなかったり。
無理だろうなぁ....って思ってのぞんだら、すべてうまくいったり。
無理だろうなぁ....って思ってのぞんだら、そのとおりボロボロになったり。



ホントに、何がどこにどう転ぶのかわからない、意味不明な世界です。わからないです。
だけど、なぜか、思いもよらない奇跡みたいな瞬間が不意にやってくる。
だから、おもしろいのかな。



ちなみに、今回の大会のことは、雑誌「ワールドフィギュアスケート70号」(荒川さんが表紙のやつ)に、野口さんが記事を書いてくださったので、お時間あるとき見てみてください〜


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自分もアダルト大会に出てみたい....興味あるのだけど....という大人スケーターの方がもしいらっしゃいましたら、もし簡単な質問等でしたらできる限りお答えさせて頂きますので、その際はメールなり何なりいただければと思います。でも「フィギュアスケートって、なんなんでしょうね?」という質問は、「わかりません。その答えを見つけるためには、滑り続けなきゃいけないみたいです!」とお答えするしかないようです。笑





 
posted by dawa at 22:01| フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする